エンジニア出身の僕がドワンゴでデザインしている理由

エンジニア出身の僕がドワンゴでデザインしている理由

2015.11.11
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ノウハウ

こんにちわ。ドワンゴのデザイナー部門で責任者をしております、鈴木慎之介と申します。

この度、ドワンゴデザイナーの情報発信の場として「dwango creators’ blog」を設けました。最初ということもあり、ぼくからすこし話をしたいと思います。2部構成にわけて、前編は「エンジニア出身のぼくがドワンゴでデザインしている理由」を、後編は「新しいデザイン制作の枠組み」についてお伝えします。

自己紹介

shinno

まずは簡単にぼくの経歴を紹介します。タイトルにてエンジニア出身と冒頭で言っていますが、ぼくがドワンゴにエンジニアとして入社したのが、2000年の高校在学中でした(きちんと有給をとって卒業式に出ました)入社後しばらくは現場でネットワークやサーバーなどのインフラを構築したり、ひたすらコードを書き続け、着メロシステムの立ち上げや、ニコニコ動画の立ち上げを行ってきました。ちなみにニコニコ動画スタート時に、テープカットと称した最後のエンターキーを押したのもぼくでした。リリース後からしばらくはエンジニアとしてニコニコに専念していました。

その後、ニコニコが成長するにつれて、開発部門のマネジメントを担当したり、ニコニコチャンネルの事業責任者や、ゲーム機やTVへニコニコを搭載する子会社キテラスで社長をやったりと、サービスやプロダクトを作るためのマネジメントを行うようになっていきました。

余談ですが、エンジニアを志したきっかけは、小学生の頃のPCとの出会い、その流れで没頭したゲームプログラミングとパソコン通信でした。しかし、それより昔の記憶を辿ると、幼い頃は絵を書いたり、ピアノをたしなんだり、根っこは割りとクリエイティブ寄りだったようです。それもあり、複雑な問題を解決するコアテクノロジーやハードウェアのエンジニアリングではなく、サービスやフロント寄りのエンジニア、そしてその後企画や事業マネジメントの道を歩むことになったのかもしれません。かなり後付け感がありますが、今になって感じたことです。

ドワンゴという会社

dwango

一旦話がぼくから会社にフォーカスが移ります。皆さんもドワンゴと聞いて、エンジニアが多く、そしてエンジニアリングに強いとか、そんなイメージがあるんじゃないでしょうか。
実際はもちろんその通りで、ドワンゴのサービスづくりにおいては、素晴らしいエンジニアたちが支えてくれてますし、これまでもこれからもエンジニアリングを大切にしていきます。最近ではリリースがあったように、「3DCGエンジニア」や「ハードウェアエンジニア」の採用に力を入れていたり、「人工知能研究所」で超人的AIの実現に向けて取り組んでいたり、エンジニアリングで新しい価値を提供していくつもりです。
何か新しいことを生み出していくためには、これからもエンジニアの力は必要不可欠ですし、ドワンゴの競争力の源泉であることは今後も変わりません。

新しいユーザー体験

UI_UX

さて、そんなドワンゴという会社の中で、ぼくが特にデザインを意識したのは、キテラスにおいてゲーム機やTVにニコニコを展開していた頃です。

デザインを意識したと言っても、なにもデザインを流行に沿ったモダンなものにしようとか、表層的なデザインを行うわけではありません。もともとデザインは課題を解決するものですから、サービスやプロダクトを「工業デザイン」と捉え課題設定をし、それを実現するための「プロセスデザイン」を行うという考え方を持つようにしました。

まず、工業デザインとしての課題設定ですが、我々ネットのサービスを作る以上は、ユーザーに長らくプロダクトを利用してもらう、すなわち「滞留」してもらうという課題解決するためのデザインを考えました。例えば、導線設計や、編成されたコンテンツの最適な配置です。それらを総合的に「きもちよく使ってもらうためのデザイン」として定義しプロダクト開発を行っていきました。

この定義ができればプロセスデザインははっきりします。皆さんがすでに行われているような、以下2点のシンプルなことを推進しました。

  • 最初から入る
    • 従来の企画が決まってからデザイン依頼がくるような形をやめ、企画の構想段階、すなわち上流工程へ参画する流れを構築
  • 早く形にする
    • 高速なモック開発や、ユーザー体験が楽しいものになるようなユーザーテスト等の導入

その結果、PS Vitaや、Wii Uソフト「ニコニコ」ではグッドデザイン賞を頂くことができたのかなと思いましたし、ニンテンドー3DS「ニコニコ」は多くのダウンロードを達成し、多くの人に利用してもらっています。エンジニアリング×デザインが新しいユーザー体験を提供できると確信したプロジェクトでした。

デザイン組織の立ち上げ

design

そして、2014年10月のキテラス吸収合併に伴い、ニコニコのマルチデバイスの開発部門として、ドワンゴに帰任しました。その後、2015年2月より、ドワンゴの様々なプロジェクトにおいてもユーザーに心地よい体験を提供できるよう、デザイナー部門の統括を行うことにしました。

早速、キテラスでの体験をドワンゴに導入しようと考えましたが、キテラスにおけるデザイナーは2-3人と小規模でコミュニケーションコストが少なく、かつ社長として私の責任で決裁出来ていたからこそ実現できていましたが、ドワンゴの規模ともなるとそうはいきません。まずは事業や組織規模に応じてスケールするよう「フォーマット化」を進めました。具体的には前述の「最初から入る」「早く形にする」の要素を以下3つの要素で再構築を行いました。

  • 組織:社内に分散していたデザイナーを集約し組織化、組織/事業ミッションの定義
  • 工程:進め方から、上流工程に入り込むことへのシフト、案件の推進方法の整理と効率化
  • 個人:デザイン能力向上の仕組みづくり, +α能力の向上、マインドセットや評価軸の形成

さて、フォーマット化はできましたが、それらをスケールさせるのは少々大変でした。というのも、ドワンゴのサービスやプロダクトや、それらをつくるスタッフはかなりの数であり、また、サービス毎のデザイナーに対する認識が異なっている部分もあり、合意形成の時間が少し必要だったためです。とはいえ、多様性を受け入れるドワンゴとしてその議論自体は健全であり、また、効率良くいいものをつくるマインドは皆一緒でしたので、最終的には理解を得てスケールすることができました。

結果、プロジェクト間の連携を取ることが出来き、ナレッジの共有や作業効率の向上を図ることに成功しています。ただこれは、事業的優先度等もあり、まだ道半ばな状態なので、これからもずっと続けていきます。この3つを実施するにあたっても、いろんな手法を考えたのですが、それはまたのお話に。

ぼくがここにいる理由

team

ここまでいろいろ書いてきましたが、エンジニアを経験し、様々な事業を渡り歩いてきたぼくがデザイン組織を見ているのは、要はドワンゴのデザイナーは意匠のデザインだけをする作業者でないことを定義し、エンジニアリングも理解しつつ、プロダクト全体をデザインすることが必要だと感じたためです。これを体現することによって、心地良いユーザー体験を提供できる存在にならないといけないと考えています。もちろん、エンジニアリングとデザインはバランスが大事ですし、また、デザイン経験がないエンジニア出身のぼくがデザイン体制を推進できるのは、そもそもデザイナーのマネージャーやメンバーがいるからこそです。これがなければいまの体制は成立しません。

ということで、前編としてドワンゴデザイナーのスタンス的なところはお話できたかなと思っています。次回は「新しいデザイン制作の枠組みへの挑戦 」をお伝えする予定です。
今後とも「dwango creators’ blog」をよろしくお願いします。

 

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この記事を書いたメンバー

shinno

shinno

Former General Manager

鈴木慎之介, マルチデバイス企画開発部長, デザイン戦略室長(先代)。2016年9月まで、ドワンゴデザイナー組織の統括、及び次世代プロダクト開発手法及びユーザーテストの研究、コーポレートクリエイティブを監修。いまでも心はデザイナー。

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