ぜんぶ見せます!イラストを盛り込んだロゴができるまで

こんにちは、ぬるぴょです。
早くも花粉が飛び始め、もうすぐ春だなぁと感じはじめる今日この頃。
流れ始める鼻水と目のかゆみに戦々恐々としております。
そんな季節になると毎年恒例、社内ざわざわと浮足立ってくるイベントがあります。そう ニコニコ超会議です!生放送で色々な企画が発表され、社内でも準備が着々と進んでいます。
デザイナーはというと、今の時期は超会議に関わるロゴデザインをおこなっていたりします。毎年たくさんの企画が立ちあがり、それぞれにロゴが設定されていますが、実は社内のデザイナーで手分けしてロゴを作っているのです!
そこで今回は超会議企画のロゴマークの制作過程をご紹介したいと思います。今年の超会議ではまだ秘密の企画もありますので、昨年の超会議企画「超プロレスリング」のロゴマークを題材とさせていただきます。
ロゴ制作の流れ
まず、超会議ロゴ制作のざっくりした流れです。
- 依頼をうける
- ヒアリング
- イメージをふくらませる
- 作業
- 初稿の提出
- 調整を繰り返す
- デザインのFIX/納品
(1)依頼をうける
超会議の企画チームから、デザイナーの部署のマネージメントチームを通してロゴ制作のお話をいただきます。スケジュール上対応が可能と判断できれば、制作を引き受けます。
(2)ヒアリング
超会議の企画担当者とデザイナーでミーティングを行います。
ここでは、以下のような内容を確認・すり合わせをしていきます。
- 具体的なスケジュールの確認
- どのような企画なのか
- 企画の正式名称(ロゴタイプを作る文言)
- どのような使われ方をする可能性があるか?
- 色や形などの希望はあるか
- デザインテイストに希望はあるか
等、企画担当の方から話を聞いていきます。
ヒアリング後、今回のロゴは以下のような希望をいただきました。制作に関わる部分のみ抜粋します。
《企画担当からの要望》
- ロゴタイプ
「超プロレスリング」 - どのような使われ方をする可能性があるか
超会議サイトのサムネイルや、その他あらゆる場所に使われる - 色や形の希望
今回の企画のスポンサーであるauさんのオレンジ色を使用
プロレスのエンブレムでよく見られる円形のロゴマーク
ヨシヒコの顔とプロレスのマスクを組み合わせる - デザインテイストの希望はあるか
ルチャっぽいイメージ - 何かデザイン上制約はあるか
auさんのロゴをマスクに入れる - いただいた素材
ヨシヒコの顔のパスデータ
ヨシヒコがかぶる予定のマスクのパスデータ
担当の方のラフ
はい! この時点ですでに超インパクト!
ヨシヒコさんの試合は動画で見たことがあり、一ファンなので俄然テンションが上がります。企画担当者がプロレスに詳しいようで、希望のイメージが具体的に固まっていました。今回はそのイメージに近づくよう制作していきます。
(3)イメージを膨らませる
さて、これから作業に移ります。
イラストレーターを立ち上げる前に、完成イメージを自分の脳内に思い描けるようにしていきます。
「ルチャっぽいイメージ」というデザインテイストの希望をいただきましたが、検討がつかなかった為、グーグル先生に聞くところから始めました。メキシカンスタイルのプロレスだそうで、過去のチラシやポスター等のデザイン、衣装やマスクのデザイン等参考になりそうな資料をかき集めていきます。(インターネット便利!)
そこからイメージしたのは、「昔のロックっぽい雰囲気」でした。
その雰囲気を構成する要素を分析していきます。
- レトロな色味
- 単色刷り
- ★マーク
- 炎のモチーフ
- 太くしっかりとしたフォント
- 二値化された顔写真のようなイラスト
このあたりをうまくデザインに取り込むと、それらしい雰囲気を実現できそうです。
それからより具体的にイメージを膨らませてるため、ロゴタイプの参考フォントを集めたり、ヨシヒコの顔のイラストのテイストを検討していきます。イメージが浮かんだら紙にざっとラフを描き、実際のデザインに落とし込んでいきます。
(4)作業
◆顔イラストを描く
マークに配置するヨシヒコの顔イラストをペンタブレットで描いていきます。
ベジェ曲線ではなく、ペンタッチを活かし主線にメリハリを加えながら描く方が今回のイラストのテイストには最適と判断しました。後ほど自動画像トレースでパス化する事を想定し、高解像度での作業です。
使用ソフト:CLIP STUDIO PAINT
サイズ:約3000px×3000px
いただいたヨシヒコの顔のパスとマスクのパスをラフに切り貼りし、ベースをつくります。
その上のレイヤーにメリハリをつけながら線を引いていきます。
全体のバランスを見ながら影になる部分をベタでぬりつぶしながら仕上げていきます。あくまでロゴマークなので、書き込みが細かくなり過ぎないよう注意しています。例えば、額の「超」マークは省くなどして、印象が変わらないようにシンプルにします。ここで色も塗ってしまいます。
うむ!ヨシヒコのシュールさと、ロックテイストのかっこいい雰囲気が出た…と思います!
◆ロゴタイプを作る
3パターンほど文字をデザインします。
- 1案目
レトロなプロレスのポスターで 血が滴っているようなフォントがあったので、日本語にアレンジしてみます。CLIP STUDIOで、イラストと同様にペンタブレットでフリーハンドで描いていきます。
- 2案目
文字の一部にとげが生えた、骨太な印象のレトロなロゴタイプをつくってみます。イラストレーターで、横一列の文字をパスで作った後、ワープで変形してアレンジを加えます。
- 3案目
1,2案目がかなりアクが強い印象なので、少し軽めのロゴタイプも用意してみます。
軽くラフを描いたあと、イラストレーターで直線的な文字を作りました。
◆顔イラストとロゴタイプを組み合わせる
描きあがった顔のイラストとロゴタイプを組み合わせて、ロゴマークとしてまとめます。顔のイラストと手描きのロゴタイプは後ほど修正が入る可能性があるので、まだパス化せずにラスタデータのまま組みます。
ざっくり色々なデザインを用意しました。この中から初稿として3案に絞り込みます。迷ったらまわりのデザイナーもまきこんで意見をもらったりします。
(5)初稿の提出
初稿として、この3案を提出しました。
企画担当者にこれらのデザインを確認してもらい、そのデザインがイメージに近いか、どこに調整を加えるか等のフィードバックをもらいます。
(6)調整を繰り返す
◆2稿目
初稿を企画担当者に確認してもらい、フィードバックをいただきました。
デザイン2のベースに、デザイン3の「超プロレスリング」のロゴタイプをのせたい色やバランスを調整した後、2稿目としてデザインを提出しました。
◆3稿目
2稿目をスポンサーを交えた関係者で確認していただいたところ、以下のフィードバックをいただきました。
- テキストの修正
センターから外側に向けて大きくなるなる加工はそのままで違うテイストの文字にしてほしい。(参考資料をいただいた)
⇒参考にいだだいた文字をベースに、文字を作ることにします。
- 「超」をより目立たせたい
何か手だてがあれば提案してほしい。
⇒枠の色とサイズを調整します。
- ヨシヒコ左顔半分のシャドーの修正
黒い影が怖いイメージあるので、少し黒を薄くして輪郭はっきり見える加工パターンとシャドーが全く無いパターンの2パターンほしい。
⇒ヨシヒコの顔の影を調整します。
上記の内容に対応して3稿目のデザインを用意しました。
以下が3稿目のデザインです。
顔に影が入っている方がはっきりするのでそちらを推しました。
◆4稿目
3稿目の顔に影が入っているデザインでOKをいただきました!ヨシヒコの顔はカラーで決定です。
ここでロゴタイプの「プロレスリング」の『リ』が『ソ』に見えないか?との意見は周囲から上がりました。たしかに見えかねないと感じたので文字を調整しました。
(7)デザインのFIX/納品
無事、デザインに最終のOKをいただきました!納品用のデータを用意します。
◆イラストのパス化
この段階では顔のイラストがパス化されていないので、パスにする作業を行います。高解像度のイラストをイラストレーターで開き、画像トレースを行います。すると一発でなかなか綺麗にパス化してくれます!
パーツの合体整理、アンカーポイントの単純化と等細かい箇所の調整は手作業で行い、綺麗なデータに仕上げていきます。
◆線のアウトライン化
デザインの調整を柔軟に行えるようにするため、文字周りの枠線等はまだアウトライン化していません。これらすべてをアウトライン化します。
◆各パーツと組み合わせる
ベースやロゴタイプに、用意した顔のパスデータを配置して調整します。これで、すべてパスで構成されたロゴマークのデータが出来上がりました!
- aiファイル
- 書きだした透過PNG
これら2つのファイルを超会議チームに納品します。これにて全工程完了です!長くなってしまいましたが、ロゴマークができるまでの工程をご紹介させていただきました。
現在も超会議2016に向けて、各企画のロゴデザインが着々と出来上がっています。
超会議にお越しいただいた際には、色々なブースを楽しみつつ「このブースのロゴはどんなデザインかな?」っと見てみるのもまた一興かもしれませんよ。ぜひとも遊びにお越しください。お待ちしております!